30年も前に、歌手・さだまさしが主演・製作した 「翔べイカロスの翼」という映画があった。 今やビデオ・DVDにも残っていない、幻の映画である。 「イカロス」とはギリシャ神話に登場する青年だ。獄中に囚われたイカロスは抜け出すために、父から「蝋(ろう)で創った翼」をもらい、自由に大空を飛翔した。しかし、父の戒めを破って、天高く飛び過ぎたため、太陽の熱で翼が溶けて、海中に落ちてイカロス青年は死んだ。 1980年、映画「翔べイカロスの翼」は製作された。 主人公は、28歳の青年道化師「栗山徹」。実話である。 キグレサーカスでピエロの修行を積んだ栗山は、こどもたちの人気者になった。 道化師(ピエロ)は、例えどんなに辛くとも悲しくとも、化粧姿になった途端、自己の感情を隠して、人々に笑顔を振りまく仕事だ。主演はさだまさし本人が演じた。 ある日、運命のいたずらか、綱渡りの最中、「ピエロの栗ちゃん」は落下し、倒れた(命綱はつけてなかった)落下した直後の彼のかすれる声に涙が出た。 「ピエロ、ピエロ・・・・こどもたちには知らせるな。」 会場は一瞬、騒然となったが代わりのピエロが登場し、サーカスは予定通り進んだ。多くの聴衆は、栗山の事故のことなど忘れたように、サーカスを楽しんだ。一方、救急車で運ばれた栗山青年は、病室で静かに息を引き取った。 ラストシーンで、栗山を心配する一人の小学生の男の子が叫ぶ。 『ピエロは死んでなんかいない。生きてるよ』 感動の ラストシーンに思わず涙がこぼれます- この映画を製作中に、さだまさしの名曲 「道化師のソネット」 が誕生した。 今、私はこの曲を何度も聴きながら、
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~Movies and wine like magic~ 映画が始まり、やがてエンドロール-ふと気がつくと、まるで魔法にかけられたかのような、不思議な時空のひととき- 好きなワインを飲みながら、自由気ままにその時の事を綴ってみます。