2013年4月13日土曜日

トータル・リコール(Total Recall) -“記憶”を買う近未来とは-


 人間の脳は、実に不可思議な領域だ


あらゆる生命活動の「司令塔」の役割はいうまでもなく、例えば、「夢を見る」こと-


私はよく「夢」を見る。それもかなり具体的で、さまざまな“ストーリー”が展開される。


この世に誕生して以来、脳は24時間、一日も休まずに、ありとあらゆるものを「記憶」していく。


「夢」は、過去に「記憶」してきた膨大なものに基づいて、いろんなストーリーになっていくのだろうが、どうもよくわからない。まだまだ謎の多い世界だ。



1990年に公開され、日本でも大ヒットした映画、

『トータル・リコール』(原題: Total Recall)






は、この謎の多い脳に・人工的に『記憶』を埋め込み、実際には体験したことのないことを、「夢の世界」で仮想体験するという話だ。




アーノルド・シュワルツェネッガー主演、監督はポール・バーホーベン、アカデミー賞では視覚効果賞および特別業績賞(視覚効果)を受賞した。音響効果賞、録音賞にもノミネートされた。






この物語、フィリップ・K・ディックが1966年に発表した短編小説

『追憶売ります』(We Can Remember It for You Wholesale)

がもとになっている。





現実にはありえないような、「火星旅行」とか、好きなタイプの美女との「ロマンス」とか、まあ本当に『夢の世界』を「記憶」できるというのだから、いつも「悪夢」に悩まされている私としては、やってみたい心境に少しなったが(苦笑)、この近未来のテクノロジーも、「完璧」ではなく、とんでもないトラブルが発生するのだが・・・・




さて、昨年、『トータル・リコール』(原題: Total Recalのリメイク版が公開された。


前作を何度も観ていたので、果たしてどんな映画になるのか、興味津々で鑑賞した。


うーん、作品全体に流れているテーマは同じだが、設定されている状況、そしてなにより映像技術の進歩は、さすがに20年の時を超えての力作だと感じました。









映画の中で、かなりインパクトがあったのは、主人公のダグラス・クエイド / ハウザーが、携帯電話で話しているシーンだ。





なんと、近未来のケータイは、手の中に埋め込まれているのだ!


ええっ、なんだ、もしかしたら将来、こんなになってしまうのか・・・・ちょっと不気味なシーンでしたね。



コンピューター、インターネットとモバイル技術の発展で、今や携帯電話(スマートフォン)は、生活に絶対必要な時代になりましたが・・・・




それでも私は、近未来SF映画、大好きなんです(笑)










2013年4月12日金曜日

実は“暴力否定論者”のジョン・ウー監督、「M:I-2」の美しきアクション!

  アクション映画で好きな監督を挙げるとすれば、この人、



ジョン・ウー(呉 宇森 John Woo)監督だ。



 1946年5月1日、中国広州市生まれで、香港育ちの映画監督、脚本家、映画プロデューサー。


大ヒットした『レッドクリフ』(原題: 赤壁)シリーズや
、「男たちの挽歌」、「フェイス/オフ」など、数々の話題作をつくってきたジョン・ウー監督。


中でも私のお気に入りの作品は、トム・クルーズ主演のスパイ・アクション映画、御存じ、


『ミッション:インポッシブル2』

(Mission: Impossible II, M:I-2)





とにかく理屈抜きで面白い。このシリーズ(1~4)の中でも、個人的にこのMI-2、ズバ抜けた作品に仕上がっていると思います。



映画の冒頭-息を飲むような断崖絶壁の光景が広がる。目もくらむような高さ、そそりたった崖、そしてトム・クルーズ演じる主人公、イーサン・ハントが、たった1人でよじ登っていく・・・・


やっと登頂したときに、例のごとく唐突に、「不可能な任務」の依頼が届く。


あらすじはこうだ。


感染すれば20時間で死亡するキメラウイルスが、輸送中に元IMFメンバーのショーン・アンブローズに強奪されてしまった。これに対しIMF本部は、イーサン・ハントを中心にチームを組み、ショーンの元へ元恋人のナイアを送り込む。

潜入は成功したかに見えたが、やがて正体がばれた彼らはナイアを人質に捕られ、窮地に追い込まれる。






圧巻なのは、最後の格闘シーンだ。


アクション映画にはつきものの、

車・バイクの壮絶なレースに、銃の撃ち合い、そして拳と拳のぶつかりあい・・・・







その全部が収められているのだが、ジョン・ウー監督の撮り方は、一種独特の雰囲気がある。


「ストップモーション」を多用し、激しい戦いなのに、どことなくエレガントな、そうですね、「美しい」とでも表現できようか。



あまり深く考えずに、思い切り映画でストレス発散できる、おすすめの作品です。



ちなみに、ジョン・ウー監督は大の「暴力否定論者」




幼い頃の貧困街での生活の中で、他人から暴力を受ける事が多かったため、映画の中で暴力を描く事によってその残酷さを伝える意図があり、激しい暴力シーンの最中でも、平和の象徴の「鳩」を入れているのです。


もちろん、「MI-2」にも、「真っ白い鳩」がドラマチックに出てきますよ。





2013年4月11日木曜日

映画「東京原発」は、7年も前の警告だった

福島原発事故から2年が過ぎた。

2年も経ったのに、「事故」はまだ終わっていない。


今、問題になっている、 「汚染水漏れ」一つをとっても、「原発事故」がひとたび起きると、あまりにも多くの難題が次から次へと引き起こされていく。



さて、「原発」を題材にした映画はないだろうか、と以前、いろいろ調べてみた。



あった。それも日本映画だ!



タイトルは、


『東京原発』



役所広司主演、2004年に公開された作品だ。







舞台は、東京都庁舎。



都知事役の役所広司が、会議室に関係者を集めて、唐突にこう提案する。


「東京に原発をつくろう」と。


みな、あ然とする・・・・しかし、一向にお構いなく、都知事は、「東京に原発をつくると、どんなメリットがあるか」ということに、熱弁をふるう。



幹部職員たちは困惑しながらも、徐々に喧々諤々の議論が交わされていく。

果たして都知事の単なる思いつきなのか、それとも・・・。

そんな中、極秘裏にプルトニウム燃料を載せたトラックがお台場から福井に向けて輸送されようとしていた---




2011年3月11日の、福島原発事故が起きる、7年も前のこの映画、全部見終わると、慄然とした。


「なんだ、この映画の中に、原発・放射能汚染の恐ろしさ、原発マネーの問題などすべてが網羅されているじゃないか」




原発建設の当事者である電力会社や、原発推進派の学者たちが「絶対安全」と言い続けてきた原発。


都知事は語る。

「絶対安全なら、東京に建てても問題ないじゃないか、都民の電力供給のためにわざわざ遠く離れた場所に建てることはないんじゃないかな」


まさに強烈なアイロニー〈皮肉〉だ。







この作品、公開当時は、あまり人気がなくて、上映しない映画館もあったという。



「放射性物質の危険性」や「使用済み核燃料」など、

映画「東京原発」で描かれている数々の「原発問題」は、


7年経った今、現実の危機となって私たちに突きつけられている。



※公式ウェブサイトはコチラ

























2013年4月10日水曜日

予測できない衝撃のラスト! 『ブラック・スワン』(原題: Black Swan)




2011年、彼女はついに、アカデミー賞 主演女優賞に輝いた。


その作品は

 『ブラック・スワン』(原題: Black Swan)









彼女とは、今、最も注目されているハリウッド女優、



ナタリー・ポートマン(Natalie Portman,)





彼女が映画デビューしたのは、10歳の時、あのリュック・ベッソン監督の『レオン』で、ヒロインの少女マチルダ役を演じた。


以前、このブログで紹介したが、「レオン」は私の大のお気に入り作品だ。


まだ10歳というのに、観客を惹きこまずにおかない名演技をしたナタリー・ポートマン。









天才的ともいえる素晴らしい才能の持ち主だ。



少女から大人の女性になった彼女を、世界中に知らしめた作品は、御存じ、




「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(シスの復讐まで3作)☆、
 Star Wars Episode I: The Phantom Menace



アナキン・スカイウォーカーの恋人、パドメ・アミダラ役だ。







この映画を観ると、ナタリー・ポートマンの演技力がずば抜けていることがわかる。




『ブラック・スワン』は、バレエ『白鳥の湖』の主演に抜擢され、潔白なホワイト・スワンと官能的なブラック・スワンの二つを演じることになったバレリーナが、プレッシャーなどによって徐々に精神を壊してゆくサイコ・サスペンス映画。





この物語、最初から最後まで、絶対に目が離せない。そして、誰もが想像できないような、驚くべきラストシーン、まだ観ていない方には、二重丸がつくほどの、おすすめ映画だ。



ネタバレになるので、ストーリーは省略するが、この作品、実に人間の奥底にある精神性を、「バレエ」という手法で見事に表現している。







主人公のバレリーナ、ニナは、「白鳥」と「黒鳥」という2つの相反するスワンを体現しなければならなかった。


「白鳥=ホワイトスワン」は、高潔にして清新な“善性”、

「黒鳥=ブラックスワン」は、退廃的でふしだらな“悪性”

を表そうとしているようだ。



真面目で一途な努力家のニナは、「白鳥=ホワイトスワン」は完璧に踊れるが、「黒鳥=ブラックスワン」はどうしてもうまく踊れない。苦悩と葛藤が続き、やがて彼女は究極の完璧な踊りをみせるのだが・・・・・





人間の生命には、善と悪が共存している--これは仏教で説かれる生命哲学だ。

善人とか、悪人とかよく言うが、つきつめていくと、この2つの性質、誰もがどちらも兼ね備えているということだ。


別の表現にすると、人間は、


完璧な善人も、


完璧な悪人もいない-



それなのに、ニナは、どちらも完璧さを追求してしまった。


至高の芸術の高みへのあくなき欲求、そして何よりバレエ団の頂点の座を失いたくないという、ある意味での名誉欲ゆえに、なんと、恐ろしい追求の仕方だろうか!



映画『ブラック・スワン』は、観る者の胸をえぐらずにおかない、衝撃の作品である。







≪ナタリー・ポートマン(Natalie Portman,)の受賞歴≫




アカデミー賞 2011年度 主演女優賞 『ブラック・スワン』
 
ゴールデングローブ賞 2005年度 助演女優賞 『クローサー』
 2011年度 主演女優賞(ドラマ部門) 『ブラック・スワン』
 
英国アカデミー賞 2011年度 主演女優賞 『ブラック・スワン』
 
全米映画俳優組合賞 2011年度 主演女優賞 『ブラック・スワン』
 
放送映画批評家協会賞 2011年度 主演女優賞 『ブラック・スワン』
 
サターン賞 2007年度 主演女優賞(映画部門) 『Vフォー・ヴェンデッタ』
 
ナショナル・ボード・オブ・レビュー 2004年度 アンサンブル演技賞 『クローサー』









2013年4月9日火曜日

『チャングムの誓い』は、師弟の不屈の勝利劇だった!


今回は映画ではないが、紹介したい韓国のTVドラマがあります。



数年前、NHKで夜遅くから放映していた、





『宮廷女官チャングムの誓い』

(大長今 대장금))








韓国MBCにて2003年9月15日から2004年3月30日まで放送された長編テレビドラマです。




韓流ブームの火付け役となった「冬のソナタ」に次いで、日本でも大きな反響を呼びました。




この物語は、ひとりの医女(日本でいうと“女医”ですが)が、さまざまな苦労を乗り越えて、

朝鮮王朝時代としては、極めて稀な、国王の主治医になるという話です。



モデルとなった人物は史実に登場します。


『朝鮮王朝実録』の『中宗実録(チュンジョンシルロク)』に「大長今」という称号を得て重用され、王の主治医となった医女がいたことが書かれています。








前半でチャングムは、王宮にある、 水剌間(スラッカン)といわれる、調理場で、料理人として活躍します。


毎回、さまざまな韓国の宮廷料理が出てきて、グルメ好きの私としては実に興味深いものでした(笑)



誰もが羨む女官としての毎日-しかし、チャングムはやがて師匠のハン・ペギョン(韓伯榮)とともに、謀略の渦に巻き込まれ、無実の罪で宮廷料理人から奴婢の身に落とされます。


母のように慕ったハン・サングンに死なれ、済州島に島流しにされたチャングム。


絶望のどん底の中で、チャングムは、“師匠を貶めた権力悪”への“復讐”を誓います。


奴婢の身分で宮廷に戻れる道はただ一つ、医女になることでした--



この場面から、ドラマは急展開しつつ、さまざまな観点から実に示唆に富んだ高い次元のストーリーと変貌、いや昇華といったほうがよいでしょう、ものすごい強い感銘を与えるものとなります。







果たして、チャングムは“復讐”を成し遂げることができるのか-

はたまた、愛するミン・ジョンホ(チョンホ)(閔政浩)との恋の行方はいかに-



最後まで、目を離せない、超一級のドラマです。

 
そして、何より強調したいこと、それは、




「チャングムの誓い」は、「師弟のドラマ」


だということです。


師匠へのまっすぐな報恩の心、信念、魂が、チャングムを成長させていく。

そしてついに、歴史に残る偉大な、 


大長今(デ・チャングム)


の称号を勝ちえるのです。









   

  
  


  

  









2013年4月8日月曜日

サッチャー元英首相死去-「鉄の女の涙」に涙した


 つい先ほど、ニュースが流れた。




サッチャー元英首相死去



英BBC放送は8日、スポークスマンの話として、サッチャー元首相が死去したと伝えた。

87歳だった。





マーガレット・ヒルダ・サッチャー(Margaret Hilda Thatcher, Baroness Thatcher, LG, OM, PC, FRS、旧姓: ロバーツ(Roberts)、1925年10月13日 - 2013年4月8日)は、イギリスの政治家、貴族。爵位は男爵(女男爵)。



イギリス史上初の、女性保守党党首、英国首相(在任: 1979年 - 1990年)。

1992年からは貴族院議員。

保守的かつ強硬なその性格から鉄の女(Iron Lady)の異名を取った。


認知症のため2013年現在は表舞台には姿を見せていなかった。


 きょう御紹介したい映画は、これしかないだろう。







『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

(原題: The Iron Lady)




メリル・ストリープが元英国首相のマーガレット・サッチャーを演じる伝記映画。

サッチャーの夫のデニス・サッチャー(英語版)をジム・ブロードベント、長年サッチャー内閣を助け、後に副首相となるジェフリー・ハウ(英語版)をアンソニー・ヘッドが演じている。






私はこの映画が公開されるやいなや、まっさきに映画館へ足を運んだ。


大学時代、「法学部政治学科」の4年の時、英国の政治史を学ぶ中で、何度もサッチャーの偉業に感嘆していたからだ。





ともかく、メリル・ストリープの名演技、というか、本物のサッチャーその人だった。

 



サッチャーは鉄の女と恐れられたが、実は彼女は初の女性首相として、




孤独との戦いに死にもの狂いだった。




戦死した兵士とその家族に対して、“同じ母”として涙した。




そして、男たちには到底かなわなかった、




女性ならではの目線で、国民を慈しみ、国民の暮らしをよくするために、後に“サッチャリズム”と呼ばれる奇跡の経済政策を成し遂げたのだ。




★サッチャー語録より-


 「われわれは核兵器の無い世界ではなく、戦争の無い世界を目指すべきです」

 「社会というものはありません。あるのは個人と家庭だけです」

 「言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい」



心よりご冥福を祈ります-









2013年4月7日日曜日

3..11後に観た「日本沈没」、もはやSFではない



 「日本が沈没する?そんなことあるわけないでしょう」

その映画が封切になって以来、こんな話題が私の周囲でも飛び交っていた。




小松左京のSF小説を映画化した、

「日本沈没」






1973年に、そして2006年にはリメイク版が公開された。




日本には活火山が多く、地震の多い国だということは教科書で学んでいたが、


日本の地下にいくつもの「活断層」があり、巨大地震が起きるとどうなるか、

ということまでは、私の知識にはなかった。



しかし、映画「日本沈没」は、SFとはいいながら、


「もしかしたら、本当に日本が沈没するのではないか」という、


強烈なリアル感を迫らせる作品だった。







地球物理学者である田所雄介博士は、地震の観測データから日本列島に異変が起きているのを直感し、調査に乗り出す。



潜水艇操艇者の小野寺俊夫、助手の幸長信彦助教授と共に小笠原諸島沖の日本海溝に潜った田所は、海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見する。異変を確信した田所はデータを集め続け、一つの結論に達する。それは「日本列島は最悪の場合2年以内に、地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈没する」というものだった。




最初は半信半疑だった政府も、紆余曲折の末、日本人を海外へ脱出させる「D計画」を立案・発動する。しかし、事態の推移は当初の田所の予想すら超えた速度で進行していた。各地で巨大地震が相次ぎ、休火山までが活動を始める。精鋭スタッフたちが死に物狂いでD計画を遂行し、日本人を続々と海外避難させる。一方、あえて国内に留まり日本列島と運命を共にする道を選択する者もいた。

四国を皮切りに次々と列島は海中に没し、最後に北関東が水没して日本列島は完全に消滅する。







2011年3月11日、マグニチュード9.0という、いまだかつて体験したことのない、巨大地震と巨大津波が、東北地方を襲った。


「東日本大震災」


東京の超高層ビルが揺れに揺れる、押し寄せる大津波にまたたくまに街が家が覆い尽くされていく、工場地帯では大火災が発生していた。



衝撃的な大自然の脅威のこの事実を体験した後、再び「日本沈没」をDVDで観た。



特撮の映像なのに、なんなんだ!この背筋が凍るような恐ろしさは!



もはや、これはSF映画ではない、確かな科学的知見に基づいた、まぎれもなく、


未曾有の大災害への警告の映画だと、痛感した。